皆様、こんにちは😊
本日は「移転価格税制」について、ご紹介したいと思います。
国際的に事業を展開する企業にとって、適正な取引価格をどのように決定するかは重要な課題です。
特に、企業グループ内での取引では、税務当局からの監視が厳しくなっています。
このような背景のもと、移転価格税制は公正な課税を実現するための仕組みとして導入されています。
①移転価格税制とは?
移転価格税制とは、企業グループ内の国際取引が適正な価格で行われているかを規制する制度です。
たとえば、日本に本社があり、海外に子会社を持つ企業があるとします。
- 日本の本社が、税率の低い国にある子会社へ、通常よりも安い価格で商品を販売する
- 日本の本社が、海外子会社から通常よりも高い価格でサービスを受ける
このような取引が行われると、本来は日本で課税されるべき利益が海外に移転し、税負担が減る可能性があります。
こうした取引を防ぐために、税務当局は「取引価格が適正かどうか」を監視しており、問題があれば修正を求めることができます。
②なぜ移転価格税制が必要なのか?
多国籍企業は、各国の税制や税率の違いを利用し、税負担を抑えるために取引価格を操作するリスクを持っています。
これに対し、各国の税務当局は「独立企業間価格(ALP:Arm’s Length Principle)」という考え方を採用し、第三者同士が取引をする場合の適正な価格を基準に判断します。
この制度があることで、企業の税務戦略による極端な利益移転を防ぎ、国ごとに適正な課税が行われるようになります。
③移転価格税制の適用対象となる取引
移転価格税制の対象となるのは、同じ企業グループ内(関連者間)での国際取引です。
具体的には、以下のような取引が該当します。
- 商品取引(日本の本社が海外子会社に商品を販売)
- サービス取引(海外の関連会社からコンサルティングサービスを受ける)
- 無形資産取引(商標や特許権を海外の関連会社にライセンス提供する)
- 資金取引(グループ内で融資を行う際の利率設定)
これらの取引が、独立企業間の市場価格と大きく異なる場合、税務調査の対象となる可能性があります。
⓸企業が取るべき対応
企業は、税務当局から「適正な取引価格を証明する資料」を求められる場合があります。
そのため、事前に以下のような対応をしておくことが重要です。
◇ 1.移転価格ポリシーの策定
取引価格の決定方法や、適正な価格を設定する基準を定めておくことが大切です。
◇ 2.移転価格文書(TPドキュメント)の作成
税務調査に備えて、取引価格の合理性を説明する文書を作成しておく必要があります。
特にマスターファイルやローカルファイルの作成は、各国の税務当局から義務付けられています。
◇ 3.事前確認(APA:Advance Pricing Agreement)
税務当局と事前に合意を結び、将来的に移転価格に関するリスクを回避する方法もあります。
⑤まとめ
移転価格税制は、多国籍企業が利益を意図的に移動させることを防ぐための制度です。
企業グループ間の取引価格が市場価格と比べて適正かどうかを監視し、公正な課税を実現することを目的としています。
企業にとっては、適正な取引価格を証明するための準備が重要であり、移転価格文書の作成や税務当局との事前確認を行うことで、税務リスクを軽減することが可能です。
国際的な規制が厳しくなる中、多国籍企業は移転価格税制にしっかりと対応し、公正な税務処理を行うことが求められています。
いかがでしたでしょうか?
移転価格税制は少し難しい内容ですが、企業にとって避けて通れない重要なルールです。
今後、ニュースなどで話題になった際には、「この制度のことか!」と少しでも理解の助けになれば嬉しいです。